相続に関する基礎知識(遺言について)

こんにちは。
トマリギ行政書士事務所の岩代圭介です。

今回は、『相続に関する基礎知識(遺言について)』の記事をまとめました。

※遺言とは、法律用語としては【いごん】と読みますが、弊所ではより一般的な呼称である【ゆいごん】と読んでいます。
※令和6年6月17日時点の情報です。最新の情報については、弊所または他の専門家にご確認ください。

遺言とは

遺言とは、自らの財産を誰にどれだけ残すのかについての最終意思表示のことです。
また、遺言は民法に定める方式に従わなければなりません。形式に誤りがある・記載内容が法律に沿っていない場合には無効となります。

遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

民法第960条より

遺言の種類について

通常行われる遺言の種類(普通方式遺言)は、以下の3種類があります。

自筆証書遺言

遺言者が全文・日付・氏名を自署し、押印したもの。自ら保管するか、法務局に保管を依頼することができます。(自筆証書遺言書保管制度:3,900円)
記載内容や形式に誤りがある場合は無効となります。また、家庭裁判所の検認が必要です。(自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は検認不要)
費用を抑えることができ、遺言者だけで作成することができますが、上に記載した理由により、無効になることが多く、作成や保管にも注意が必要です。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

民法第968条より

公正証書遺言

公証人が文書にまとめて作成します。また、原本を公証役場に保管します。家庭裁判所の検認も不要です。
信頼性が高く、無効になりづらいため、確実に遺言を残したい場合などに広く利用されています。
費用は、弊所だけなく、公証人や立会する証人2名にも必要です。

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

 証人二人以上の立会いがあること。

 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

民法969条より

秘密証書遺言

自ら作成した遺言書に封をし、その存在のみを公証役場で証明してもらいます。また、自らで保管します。
内容を誰にも知られずに作成できるメリットはありますが、自筆証書遺言と同様に無効になることが多く、家庭裁判所の検認も必要です。
上に記載したとおり、デメリットが多く、費用もかかるため、あまり利用されていない方法です。

秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。

 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。

 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

民法970条より

また、特別方式遺言は、以下の2種類があります。

  • 危急時遺言
  • 隔絶地遺言

上記の特別方式遺言には、船舶等に乗船中の場合、またはそれ以外の場合で、それぞれ2パターンあります。
ただし、これらは積極的に利用されるものではないため、今回の記事では特別方式遺言について取り上げません。

遺言の重要性について

遺言書を作成することで、残された相続人たちは基本的に話し合いすることなく、相続手続きを進めることが出来ます。

  • 遺言書がない場合
    相続人全員で財産について話し合い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
  • 遺言書がある場合
    遺言書に従って相続手続きを行い、相続人同士で財産について話し合う必要は基本的にありません。

遺言書がある場合でも、相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成することができます。

また、遺言書を作成しておくことで、残された相続人たちが遺産分割で揉める可能性を減らすことができます。

「そんなに財産がないので…」と仰られてる方が多いのですが、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容・調停成立件数遺産分割事件について、

  • 1,000万円以下 34%
  • 1,000~5,000万円以下 44%

と、5,000万円以下のケースが過半数を占めており、『相続』を『争族』にさせないために、遺言書を作成することは重要であると考えています。

裁判所 令和5年 司法統計年報(家事編) 第52表 遺産分割事件のうち認容・ を除く)―遺産の内容別 より

まとめ

遺言とは、『亡くなられた方から残された相続人たちへ、最後の思いを込めたメッセージ』だと言えると思います。

しかし、上にまとめたように、遺言には記載内容・形式によって無効とされることがあり、一人で作成しようとするのは中々大変だと思います。

ぜひ、相続について不安なことがあれば、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

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